昼でもない夜でもない時間の間で語る物語
ヒタヒタと湿っぽい足音がしてオレンジ色の灯りが近づいてきて来ます。
鬼灯の提灯を持つカエルさんです。
カエルさんの案内で、神殿の列柱のように松の木が続く細い道を歩いていきます。
波の音が木霊のように響いて、もしかしたら両脇は海なのかもしれません。

焚火の灯りが見えてきて沢山の影がゆらゆらと動いているのがわかります。
カエルさんが指を立てて注意します。
「ここからは口にチャック」
「声を出すと、ここにいると知られて連れて行かれてしまうから」
そ~っ、と近づくことにします。
近づくほどに想像以上に強い炎の勢い。
炎に照らし出された異形のモノたちは忙しく動き回っています。
異形な者どもに追い立てられているのは縄でぐるぐる巻きにされた人間達。
力尽きてうずくまると細い針のようなもので次々に突き刺さして、否応にも移動を促されます。

地面から灼熱の炎が吹き出しています。
縛り上げられた人間達は燃え盛る炎の方へジワジワと追い立てられ、ついには足場を失い炎の中に落ちていくのです。
長い悲鳴が地の底から響きます。
その様子を見て高らかな笑い声を上げる者たち。
彼らの前にはご馳走が並び、酒を酌み交わしているようです。
その中にはあの夏の日に炉に火が入った、と見せてくれた青年もいました。
あの時と変わらぬ美しい所作でひときわ晴れやかに笑っています。
次々と落とされた人間達は、炎の中で体がどんどん焼け落ちていきます。
まさに生きながら焼かれ、とうとう顔だけが残りました。

顔と顔はねっとりとくっつき集まり始め、肉団子のようになってしまいました。
顔たちは互いを罵り合います。
「お前が悪い・・・ニ・・ト・・ひっか・・」
「・・ちが・・お前の方が・ハ・・」
宴はいよいよ佳境のようですが、
カエルさんに促され、来た道を戻ることにします。
何しろ声を出したら・・・
#Ascension #裁き
#日本 ####
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