薄暮にささやく物語12/ライオンズゲートの夜

昼でもなく夜でもない刻の間で語り伝えられる物語

ライオンズゲートが開き、満月が静かに輝きます。

ピタピタと湿った足音がしてカエルのお迎えが来ました。

手にはホウズキの提灯を持っています。

オレンジ色の光に導かれ地下への道を辿ります。

 

いつしかオレンジ色の灯りは2つ、3つと増えていき一本の道を浮かび上がらせます。

その道の果てにはひときわ大きなオレンジ色の灯りが輝いています。

大きな灯りのもとにたどり着くと一人の青年が待っていました。

長い衣を纏って品の良い所作をします

「どうぞこちらへ」

 

促されて先へ進むと大きな炉がありました。

遠目に見えたオレンジ色の灯りはこれだったようです。

 

青年は炉の中を覗き込むと、

「この通り火の準備は出来ています」

にっこり微笑んで言います。

 

そして、次を指し示します。

大広間の中心の辺りの床が抜けていて熱風が吹き上げ、メラメラと炎が立ち上っています。

案内の青年はクククッと笑いをこらえて言います。

「今はここまでです。」

 

そう言うと帰りの途が示され、またカエルさんの案内で地上を目指すのです。

 

 

 

 

 

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ようこそ、いらっしゃいませ。あなたが来てくれてうれしいです 振り返ってみると幼い頃の記憶は幼稚園の入園式から、それ以前はあやふやです。小学生の頃の夢は宇宙飛行士、中学生の頃は漫画家。けど誰にも言えなくて、もっと現実的な美術系の学校に行くことにしました。 でも、大学受験コケました。合格圏にいたはずの4年生大学を面接で失敗、その年は補欠の繰り上がりも無く、あえなく短大へ。人生の厳しさを知った春でした。ショックだった。でも今思うと、それは必然だったと思う。だって、その短大に行かないと出会えないと言う人が未来で待っていたから。いわゆる前世の恋人。 前世をトレースするかのように恋をして、同じように破局しました。私としては成就させたかったのだけれど・・ ここでも、ショックでフリーズした私を見逃さなかったのが実の母。 失恋の痛手で自己愛も自尊心も遥かにゼロに近くなっていた私は母の言いなりに見合いをして結婚してしました。 そこからが魂の修行の日々、過酷だったあ。 結婚して7年間は本当の自分を箱に入れて、母の言いなり、お人形のような生活に甘んじました。 7年目の早春、はっと我に返って唖然としました。 嫌いなものを黙って受け入れた人生は、大嫌いなもので満ち溢れていました。ウンザリしました。乳飲み子を含む三人の子どもがいて、介護一歩手前の祖父母がいて、しがみついて話さない母親、好みじゃない夫。 ここから私がもともといた場所までは遥かに遠い、地の果てまで飛ばされたかのようです。 ここから自分を取り戻していく泥沼を歩くような人生が始まりました。 手始めに人生で初めて母に「NO!」と言い、ついでに夫にも「これ以上子どもは生まないから。」と言いました。 弱い、と思っていた存在が逆らうと、ハチの巣を突っついたような気分になるようで、二人からの風当たりは強くなりました。 それでも後戻りする気はないし、前進あるのみ、心理学を学び、精神世界へ足を踏み入れました。そのうち直観力も自然に身につき、良きメンターに巡り合いました。 今思えば敵と思っていた存在が一番のメンターだったかもしれない。彼らがいなくて、ただの幸せな人生だったら、ここまで来なかった。 今、使命を実行できるのも彼らのおかげです。この場を借りて「ありがとう」