時のはざまの薄暮の頃に囁く物語
昼下がり、書斎で寛いでいると大地の精霊が訪ねてきました。
幼稚園生くらいの大きさのカエルさんです。

カエルさんが先導して、地下へと降りて行きます。
いつの間にかエスカレーターに乗っています。
ゆっくりと降下していくのですが、次々と階層を通り過ぎていきます。
一つの階層には雪の深々と降る夜景。

一つの階層には点々と灯りの灯る宿場町と夜の海
一つの階層には夏の花火
この先の階層には何があるのか・・・
大きな仏様が体を横たえています。
視線が合うと、ウインクしてくれました。
ドキドキです。
やがて・・エスカレーターは最下層に到着です。
降りるとそこは広いフロアのようです。
中央の辺りに円形の祭壇があり、何か祀られています。

(巨大わらび餅?・・かな)
半透明のドロンとしたものが置かれています。
カエルさんが何やら手招きして、わらび餅を指し示します。
わらび餅の中に何か入っていて・・・取り出せって?
ずぼっ!と両手を入れて取り出したものは木製の箱
カエルさんが開けろと言ってます。
(人使いが荒いんじゃない?)
パカっとあけると、出て来たのは赤ちゃんサイズのハニワ
いきなり泣き出すし、鬱陶しいな。
「夜が恐いって、人間に教えたのは僕です、僕がやりました。」
「ごめんなさい、僕が悪かったです」
はっ?・・なんのこっちゃ?
言い終わるか否や、カエルさんがもう一度ハニワを箱に入れて、どこかへ持っていってしまいました。
そして、蛙は身振り手振りでもう帰れ、と言っている。
(なんかムカつくんだよなあ・・)
どこからか中華風の衣装を着た綺麗な女性が提灯を持ってやってきました。
案内してくれるらしい。

彼女の後をついて、ゆっくりとした上り坂を上がって行く。
そろそろキツイわ、と言うところで扉がぎーっと開かれました。
足を一歩踏み出すと、そこは満月。
月明りが美しい夜の世界でした。
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