薄暮に語る物語4/白い茸と黒い茸

昼でもなく夜でもない刻の間に語るお話です。

日本列島の地下深く、さらに深い地底。

 

深い崖があります。

崖はどこまで深く地底へと続いています。

崖の側面はキノコ畑です。

 

この畑が豊穣か否かが地上の豊作を左右します。

雪だるまの様な小さな大地の精霊が、嬉しそうにその茸の世話をしています。

 

でも、今日は半べそをかいています。

「白いキノコのそばに、黒いキノコを植えないで!

地上の食べ物が、違うものになってしまう。

もうやめて!」

 

白一面の畑がところどころ黒い斑になっています。

しかも、黒い斑は見る間に形を変え、とても速いスピードで増えているようです。

白いキノコを守ろうと雪だるまたちが一生懸命働いていますが、追いつきません。

こちらの黒キノコを取っている間にあちらで増える。

雪だるまはへとへとです。

 

雪だるまが白い茸の世話をするように黒いキノコにも、世話係がいました。

黒い巨体のカマキリのような精霊です。

 

カマキリは雪だるまより圧倒的に強いのです。

束になって向かって行っても勝てません。

「このままでは、地上の食べ物もなくなってしまう」

成す術もなくなり、雪だるまたちは号泣はじめました。

 

地底のさらに深いプレートの奥に蠢くものがいます。

そこのあなた、グーパンチで地面をおもいっきり殴ってください。

 

はい、やって。

そう、上手い!

地殻にヒビが入り、亀裂ができて、地面が割れていきます。

そしたら出てきた、出てきた。

さらに深い地底に閉じ込められていた存在が上がってきました。

 

巨大です。

見た感じゾウリムシによく似ています。

脳があるのか、定かではありません。

 

体側の繊毛が活発に動き始めました。

まるで美味しそうな匂いを嗅ぎ分けたかのようです。

 

ウニョウニョと茸畑を移動して、あの黒い茸にかぶりつきました。

食べ続けます。

大好物のようです。

 

食べたら、それなりのものがでますよね。

それが畑の中にパラパラと(笑)

しかも白いキノコと相性が良いようです。

キノコの艶が良くなっていきます。

一方黒いキノコには相性最悪。

黒いキノコは次々に萎み、黒いカマキリも悶絶です。

 

雪だるまは大喜びです

(これで地上にも美味しいものを届けられる)

 

白いキノコは今では薄っすらと光り始めています。

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ようこそ、いらっしゃいませ。あなたが来てくれてうれしいです 振り返ってみると幼い頃の記憶は幼稚園の入園式から、それ以前はあやふやです。小学生の頃の夢は宇宙飛行士、中学生の頃は漫画家。けど誰にも言えなくて、もっと現実的な美術系の学校に行くことにしました。 でも、大学受験コケました。合格圏にいたはずの4年生大学を面接で失敗、その年は補欠の繰り上がりも無く、あえなく短大へ。人生の厳しさを知った春でした。ショックだった。でも今思うと、それは必然だったと思う。だって、その短大に行かないと出会えないと言う人が未来で待っていたから。いわゆる前世の恋人。 前世をトレースするかのように恋をして、同じように破局しました。私としては成就させたかったのだけれど・・ ここでも、ショックでフリーズした私を見逃さなかったのが実の母。 失恋の痛手で自己愛も自尊心も遥かにゼロに近くなっていた私は母の言いなりに見合いをして結婚してしました。 そこからが魂の修行の日々、過酷だったあ。 結婚して7年間は本当の自分を箱に入れて、母の言いなり、お人形のような生活に甘んじました。 7年目の早春、はっと我に返って唖然としました。 嫌いなものを黙って受け入れた人生は、大嫌いなもので満ち溢れていました。ウンザリしました。乳飲み子を含む三人の子どもがいて、介護一歩手前の祖父母がいて、しがみついて話さない母親、好みじゃない夫。 ここから私がもともといた場所までは遥かに遠い、地の果てまで飛ばされたかのようです。 ここから自分を取り戻していく泥沼を歩くような人生が始まりました。 手始めに人生で初めて母に「NO!」と言い、ついでに夫にも「これ以上子どもは生まないから。」と言いました。 弱い、と思っていた存在が逆らうと、ハチの巣を突っついたような気分になるようで、二人からの風当たりは強くなりました。 それでも後戻りする気はないし、前進あるのみ、心理学を学び、精神世界へ足を踏み入れました。そのうち直観力も自然に身につき、良きメンターに巡り合いました。 今思えば敵と思っていた存在が一番のメンターだったかもしれない。彼らがいなくて、ただの幸せな人生だったら、ここまで来なかった。 今、使命を実行できるのも彼らのおかげです。この場を借りて「ありがとう」