昼でもなく夜でもない時間の狭間で語られる物語
夕暮れ時、厚い雲の向こうに太陽が沈もうとしています
文明の終焉を告げる日没です
その太陽を背景に黒く浮かび上がるのは宇宙船
出発のカウントダウンを待っています
世界中の協力で5隻の宇宙船が用意されました。
終焉を迎える惑星を離れ、新たな新天地を開拓するための船団です
空前の星間移民船団の結成
小高い丘で宇宙船ドックと夕陽をじっと見つめる二人の人影がありました
まだ付き合い始めたばかりです
誰にも知られていません
ですが、話しても理解はされなかったでしょう
この文明に恋愛や婚姻の概念は当に無くなっていました
カップリングは能力や才能の適正で全て政府が決めます
子どもは医療施設で生まれるものでした
この2人も移民船に乗ります
それぞれの家族と別れの挨拶を交わして来ました
全員は乗れない・・
それが誰も口にしない常識でした
惜別と愛着と希望と諦め、そんなものが惑星全体を包んでいます
日没を合図に文明のすべてを乗せた宇宙船が旅立ちます
惑星全体が振動するかのようでした
ほどなく宇宙船は大気圏を脱出し、かつての母星を遠くから振り返る位置まで来ました
そして、まるで秒読みを合わせたかのように母星は爆発したのです
飛び出した5隻の宇宙船、それがこの惑星の全てとなりました
5隻のうち、3隻が爆風に巻き込まれ活動停止
残った2隻のうち1隻は音信不通となりどこかへ消えていきました
残ったのは一隻の宇宙船
良かったのか、悪かったのか科学者チームの集まりでした
一般人は一人もいなく皆が理性的な人々でした
理性的で判断力があり、感情的なパニックを起こすこともない
それなのに、ほどなく奇妙な噂が広がり始めていました
逃げることも叶わない密閉された宇宙船の中で人が消えた
と、言うのです
跡形もなく・・
ありえない、けど、そのありえないことが起きました
この船には公然の秘密がありました
知っているのに誰も口にしない
次は自分ではないのか?
なぜ次があると思うのか?
なぜ?・・・そこには沈黙が漂うだけでした
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