昼でもなく夜でもない時間の狭間で語られる物語
遥かな昔、太陽系第5惑星が爆発しました
その時、爆発を逃れた宇宙船が一隻、第3惑星を目指しました
船の乗組員は第5惑星の生き残りです
全ての乗組員には役割が与えられていました
船全体の組織がたった一人のリーダーによって統括されていました
リーダーは女性、そして年齢不詳でした
自分が子どもの頃からあの姿だった、と証言する人もいました
理性的で強いリーダーシップ、彼女は完全な存在とみなされていました
第5惑星の生き残りである彼らの中で個人と言う概念はほぼ認められませんでした、
自由意識は軽視され、いえ軽蔑されるほどでした
【種の存続】それが最優先事項でした
けれど、どんなに厳しくしても逢瀬を交わす恋人達はいました
二人は人のいなくなった暗い廊下で、使われていない部屋で逢瀬を重ねていました
この宇宙船のパイロットと科学者の一人です
二人は居住区に戻ろうとする時、無いはずの通路が現れていつもと違うルートに迷い込みました
そして、見ないほうが良いものを見てしまったのです
無機質な部屋の中央に一つのテーブルと椅子が置かれ、テーブルの上には大きなシャーレの様な容器がありました
中は液体で満たされ、何かがピクピクと動いています
シャーレの周りには数種類のナイフやフォーク、切り分け用の道具と見られるものが置かれています
二人が戻ろうとした時
誰かが入ってきて、椅子に座りました
金属がこすり合わされる音、何かが砕かれる音が響きます
咀嚼する音が続きます
その人物は全てを済ませると、黙って部屋から立ち去りました
無音となった部屋で動きたくても、腰が抜けて動けないのは二人の恋人たちでした
逃げるようにして、いつもの居住区まで戻りました
二人とも顔は真っ青です
「あれは生きていた」
「あれは・・おそらく人の・・」
「あの人は・・」
「口にするな禍になる」
二人はそのまま黙って別れました
でも、その日から2人は誰かの視線を感じるようになったのです
この船には暗黙の秘密が公然とありました
知っているけれど言葉にしてはならない何かです
コメントを残す