昼でも夜でもない、時の間で語られる物語。
いつものように1日を過ごすと、涼しい風が吹いて陽が暮れていきます。

お気に入りの椅子にくつろいでいると
いつものようにカエルのお使いがやってきました。
カエル達は心なしかワクワクしているように見えます。
神輿のような物に乗せられて地下へと降りていきます。
暗いトンネルを抜けるとほんのり明るい空間に出ます。
内部世界?と思しき広い空間。
さらに深く・・
天井の高い空間に出ます。
沢山のカエル達が集まっています。
中央に雛壇のような何段かの階段があり、そこを上がるように勧められます。
周囲のカエル達が、とても興奮してみているような気がします。

段に上がると豪華な椅子があり、座るように勧められます。
座ると歓声が上がりました。
何事・・?
部屋の奥にさらに立派な椅子があり、大きなカエルが座っています。
「大王様、この方が第一夫人に最もふさわしいと思われます。」
(えっ・・?)

「この方との婚儀を始めましょう。」
(え?・・ええ???)
カエルは至極真面目に話をしています。
周囲を囲むカエル達は無言の圧をかけている気さえしてきました。
(逃げたら許さない・・・)
と言われているような・・
満員御礼の大広間、逃げ道は完全に絶たれている。
一瞬、長刀に手をかける・・・
「さあ、さあ、結婚式!」
詰め寄られる、Yes以外は認めない迫力。
ボスガエルと一瞬、目が合う。
(大丈夫、分かっています。
あなたと私は理が違う世界に属するもの、まじわる事が無い事は承知しています。

が、家来たちは納得させる必要があります。
どうか、あなたの言葉で断ってください。)
ボスガエルの意思が頭の中に響いていきます。
「私の気持ちをお伝えします」
広間の中がシーンと水を打ったように静まり返りました。
「お気持ちが嬉しいのですが
私とあなたたちはそれぞれ違う世界に属するもの同志
共に生きる事には無理があります。
申し訳ありませんが、このお話はお断りさせてください。
シーンと静まり返る、大広間。
(・・殺られる?)

緊張の糸を弾く様に始まったすすり泣き。
(えっ?そこまで・・・?)
大号泣の波。
凛と響き渡るボスガエルの声
「鎮まれ」
「かねて用意のものをここに」
大きなカタツムリの殻が運ばれてきます。
ちょっとしたぬいぐるみサイズ。
「共に生きることが出来ないのは残念ですが
あなたがここまで来てくれたお礼にこれをお持ちください。」
童話を思い出していました。
蛙の王子様・・
見にくい蛙が実はお王道おとぎ話。
(イケメンだったら・・)
と思い始めていましたが、お土産をもらって帰る事にします。
真珠のような光沢のカタツムリの殻
何が入っているのか楽しみです。
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