薄暮に囁く物語5/夜を司るもの

時のはざまの薄暮の頃に囁く物語

昼下がり、書斎で寛いでいると大地の精霊が訪ねてきました。

幼稚園生くらいの大きさのカエルさんです。

カエルさんが先導して、地下へと降りて行きます。

いつの間にかエスカレーターに乗っています。

ゆっくりと降下していくのですが、次々と階層を通り過ぎていきます。

 

一つの階層には雪の深々と降る夜景。

一つの階層には点々と灯りの灯る宿場町と夜の海

一つの階層には夏の花火

 

この先の階層には何があるのか・・・

大きな仏様が体を横たえています。

視線が合うと、ウインクしてくれました。

ドキドキです。

 

やがて・・エスカレーターは最下層に到着です。

降りるとそこは広いフロアのようです。

中央の辺りに円形の祭壇があり、何か祀られています。

(巨大わらび餅?・・かな)

半透明のドロンとしたものが置かれています。

 

カエルさんが何やら手招きして、わらび餅を指し示します。

わらび餅の中に何か入っていて・・・取り出せって?

ずぼっ!と両手を入れて取り出したものは木製の箱

 

カエルさんが開けろと言ってます。

(人使いが荒いんじゃない?)

パカっとあけると、出て来たのは赤ちゃんサイズのハニワ

 

いきなり泣き出すし、鬱陶しいな。

「夜が恐いって、人間に教えたのは僕です、僕がやりました。」

「ごめんなさい、僕が悪かったです」

はっ?・・なんのこっちゃ?

 

言い終わるか否や、カエルさんがもう一度ハニワを箱に入れて、どこかへ持っていってしまいました。

そして、蛙は身振り手振りでもう帰れ、と言っている。

(なんかムカつくんだよなあ・・)

 

どこからか中華風の衣装を着た綺麗な女性が提灯を持ってやってきました。

案内してくれるらしい。

彼女の後をついて、ゆっくりとした上り坂を上がって行く。

そろそろキツイわ、と言うところで扉がぎーっと開かれました。

 

足を一歩踏み出すと、そこは満月。

月明りが美しい夜の世界でした。

 

 

 

 

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ようこそ、いらっしゃいませ。あなたが来てくれてうれしいです 振り返ってみると幼い頃の記憶は幼稚園の入園式から、それ以前はあやふやです。小学生の頃の夢は宇宙飛行士、中学生の頃は漫画家。けど誰にも言えなくて、もっと現実的な美術系の学校に行くことにしました。 でも、大学受験コケました。合格圏にいたはずの4年生大学を面接で失敗、その年は補欠の繰り上がりも無く、あえなく短大へ。人生の厳しさを知った春でした。ショックだった。でも今思うと、それは必然だったと思う。だって、その短大に行かないと出会えないと言う人が未来で待っていたから。いわゆる前世の恋人。 前世をトレースするかのように恋をして、同じように破局しました。私としては成就させたかったのだけれど・・ ここでも、ショックでフリーズした私を見逃さなかったのが実の母。 失恋の痛手で自己愛も自尊心も遥かにゼロに近くなっていた私は母の言いなりに見合いをして結婚してしました。 そこからが魂の修行の日々、過酷だったあ。 結婚して7年間は本当の自分を箱に入れて、母の言いなり、お人形のような生活に甘んじました。 7年目の早春、はっと我に返って唖然としました。 嫌いなものを黙って受け入れた人生は、大嫌いなもので満ち溢れていました。ウンザリしました。乳飲み子を含む三人の子どもがいて、介護一歩手前の祖父母がいて、しがみついて話さない母親、好みじゃない夫。 ここから私がもともといた場所までは遥かに遠い、地の果てまで飛ばされたかのようです。 ここから自分を取り戻していく泥沼を歩くような人生が始まりました。 手始めに人生で初めて母に「NO!」と言い、ついでに夫にも「これ以上子どもは生まないから。」と言いました。 弱い、と思っていた存在が逆らうと、ハチの巣を突っついたような気分になるようで、二人からの風当たりは強くなりました。 それでも後戻りする気はないし、前進あるのみ、心理学を学び、精神世界へ足を踏み入れました。そのうち直観力も自然に身につき、良きメンターに巡り合いました。 今思えば敵と思っていた存在が一番のメンターだったかもしれない。彼らがいなくて、ただの幸せな人生だったら、ここまで来なかった。 今、使命を実行できるのも彼らのおかげです。この場を借りて「ありがとう」