私がいろんな事に気が付き始めた頃、
世界の様子に気が付いて、言葉を失ったことがあります。
何年も何年も、何十年も前の事かもしれません。
それは真冬の夜でした。
凍てつくような冷気の中、窓を開けて、浮かび上がる家々の灯りを見ていました。
闇に浮かび上がるオレンジ色の愛おしい光。
「この世界は葡萄だ」
と、息を呑みこみました。
その時はこの世界は大きな葡萄の樹のようだ、そう思えたのです。
葡萄の小さな一粒一粒が、一つの家庭で、その家庭として完成して閉じている。
その葡萄一粒ごとに、正義があり、愛があり、神がいる。
両親が働きに行く家庭では、両親の代わりに、家にいて幼子の養育をする祖父母が神となる。
幼子にとっては、名も無く頼りない老夫婦が完全性を持つ神となり、その神から生きるための術を学ぶ。
なんて人間は切ない生き物なのでしょう。
神を求めながら、神がいるのか?
正解を求めながら正解はあるのか?成功は?失敗は?
無条件の愛と条件付きの愛が衝突するのが、この惑星かもしれません
見上げる空に、星影は見つからない、何時頃から消えたのだろう。
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